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核セキュリティ・サミット、2010年NPT運用検討会議(2010年7月)

1.核セキュリティ・サミット
4月12日及び13日、米国・ワシントンDCにおいて核セキュリティ・サミットが開催され、核セキュリティ向上のための国内措置及び国際措置、核セキュリティにおけるIAEAの役割等について意見交換が行われた。鳩山総理(当時)よりは、我が国は非核兵器国の道を進むことが唯一の被爆国としての道義的責任であると考え、核廃絶の先頭に立ってきた旨述べるとともに、核テロ防止に貢献するためのイニシアティブとして、(1)核セキュリティ強化のためのアジア総合支援センターを本年中に我が国に設立、(2)核物質の測定、検知及び核鑑識に係る研究開発を実施、(3)IAEA核セキュリティ事業に対する一層の財政的・人的貢献、(4)世界核セキュリティ協会(WINS)会合の本邦開催、の4つの協力措置を表明した。

2.2010年NPT運用検討会議
5月3日から28日まで、米ニューヨーク国連本部において、2010年NPT運用検討会議が開催され、具体的な行動計画を含む最終文書が採択された。主な今次会合の成果は、(1)「核兵器のない世界」の達成に向けた直接的な言及が盛り込まれたこと、(2)核軍縮につき「明確な約束」が再確認されたこと、(3)具体的な核軍縮措置につき核兵器国が2014年のNPT運用検討会議準備委員会に進捗を報告するよう核兵器国に要請したこと、(4)中東決議の実施に関する現実的な措置(例:2012年の国際会議開催を支持)につき合意したことである。

我が国からは、福山前外務副大臣が首席代表として一般討論に出席し、5月4日に、日豪共同提案に盛り込まれた具体的な核軍縮措置、追加議定書普遍化の推進、原子力の平和的利用のための国際協力の重要性等を強調する演説を行った。我が国は、日豪共同提案(核軍縮・不拡散)、IAEA保障措置の強化、技術協力、軍縮・不拡散教育に関する4本の作業文書を提出し、多くの国から支持と評価を得て、議論の基礎を提供。

また、会議の最終段階で、岡田外務大臣のイニシアティブにより、豪、墺、独、韓国の外相及びNZの軍縮・軍備管理担当大臣とともに、合意形成に向けて結束を呼びかける緊急閣僚声明を発出した。

日本は、最終文書合意を以下のとおり評価している。

  1. 核兵器国と非核兵器国、先進国と途上国等の立場の違いは依然として克服されていないが、前回会合と同様の結果は許されないとの強い危機感が共有されるなか、各国による歩み寄りの結果、合意が図られたもの。危機に直面するNPT体制を救った意義は大きい。
  2. NPT3本柱の各分野(核軍縮、核不拡散、原子力平和利用)について、具体的行動計画に合意できたことは、2000年の最終文書を超える大きな成果。
  3. 我が国が提出した4本の作業文書の内容は最終文書に広く反映されており、合意形成に重要な貢献を果たした。
  4. 各締約国が、多国間協調主義に基づき、この行動計画を着実に実施していくことにより、NPTを基礎とする国際的な核不拡散体制が強化されることが期待される。