海外安全対策情報(平成30年度第3四半期分)

 
1.社会・治安情勢
平成29年12月28日,マシュハド市等において物価上昇等に対する抗議集会が発生し,これに端を発してテヘラン市内を含むイラン国内各地においても抗議活動が発生し,一般市民及び治安機関員25人が死亡,複数人が負傷しました。その後もイラン国内各地において散発的にこれら経済問題に端を発した抗議活動は発生しています。
イラン国内におけるテロ・襲撃事件については,平成29年6月7日にテヘラン市内の国会事務所建物内及びイマーム・ホメイニ廟周辺において,複数の武装グループによる銃撃や自爆攻撃により18人が死亡,約50人が負傷する事件が発生しました。また,平成30年9月22日には,南西部フーゼスタン州アフヴァーズで軍事パレードに対する銃撃事件が発生し,24人が死亡,60人以上が負傷しました。その後,南東部,南西部含むイランの南部地域においては,テロ関連事案が断続的に発生しており,12月6日には南東部チャーバハールの警察本部において自動車爆弾テロが発生し,治安機関員2人が死亡するなど,南部地域における治安情勢はやや不安定になっているものとみられることから,今後の動向を注視する必要があります。
また,依然として,殺人,強盗,窃盗,性犯罪等の一般犯罪の発生も多々報じられていることから,イラン国内での行動に当たっては十分に注意が必要です。
治安関連情報等については,当館から必要に応じて注意喚起情報を発出しておりますが,定期的に最新の報道や当館又は外務省海外安全ホームページをご確認いただくなど,自らの安全確保のための情報収集に心掛けてください。
 
2.一般犯罪の傾向
(1)概要
イランでは,犯罪件数等に関する統計が公表されていませんが,各種報道に照らしてみると慢性的に一般犯罪が発生しているものと考えられます。邦人に対する主な被害として,強盗(偽警察官による強盗,けん銃及び刃物を使用した強盗等),窃盗(ひったくり,スリ,空き巣,忍込み等)等の事件が発生しております。最近の一般犯罪に関する報道は以下のとおりです。
(1) 9月30日の報道によると,2017年9月14日,父親の車両「プライド(現地車)」を借りてタクシー業を行っていた20歳の男が,インターネット(アプリ)で空港までの乗車を申し込んできた若い女性客を空港までの道すがら拉致し,性的暴行を加えた。   
(2) 10月22日夕刻,テヘラン東部のソレイマニエ通りからアフサリエ通り周辺において,オートバイに乗った男が若いイラン人女性15人の下半身を背後からアイスピックで刺し,そのまま逃走した。
(3) 10月31日付の報道によると,テヘラン市内で,アフガニスタン人の親族関係のある3人がタクシーの運転手及び客を装い現地車プライドで市内で強盗のターゲットとなる乗客を探していたところ,同3人は後部座席に乗ってきた乗客を刃物で脅し,所持品を強取した。
(4) 10月28日19時頃,3人乗りのオートバイで携帯電話のひったくりを繰り返していた犯人が,アーザーディー広場の付近で警察の停止命令を無視して逃走し,うち1名が警察の銃撃を受けて死亡した。
(5) 11月20日付の報道によると,テヘラン市内でオートバイを使って女性のみを狙ったひったくりを繰り返していた28歳の男が逮捕された。犯人は逮捕されるまでの3~4か月で,歩行中の女性約100人からバッグ等をひったくり,犯行の際,転倒して意識不明となった被害者もいた。犯行はテヘラン市内のまだ人通りが少ない午前6時から午前7時までの1時間の間に行われた。
(6) 11月19日,テヘラン南東部メフラバード空港の南方に所在する家屋に窃盗犯3人が侵入したが,住人と家屋内で出くわしたことから,何も取らずに逃走した。住人は何か盗まれたと思い,捕まえようとしたため,捕まるのを回避しようとした犯人の1人が所持していたナイフで住人を刺し殺害した。本事件を受けて,警察は,押し入り強盗は必ずナイフを所持しているため,追跡したり,抵抗したりせず,犯人の顔の特徴等を記憶するだけに留めるように呼びかけた。
(7) 11月26日付の報道によると,テヘラン北部で空き巣を繰り返していた窃盗犯4人が逮捕された。親族関係のある4人は3か月前にイラン西部から窃盗をするためにテヘランに来ていた。犯人は夜6時から9時までの間,1階又は2階の家の窓ガラスを割って家に侵入し,現金,貴金属,外貨を盗んでいた。         
また,薬物事犯については,昨年3月28日,イラン警察麻薬対策局が,イラン暦旧年中(一昨年3月21日~昨年3月20日)にイラン全国で約808トンの麻薬を押収し,前年比で約14%増加したと発表しました。また,全国で280万人近くの麻薬常習者がいるものとみられ,麻薬密輸グループの摘発や麻薬類の押収に関する報道も後を絶ちません。
(2)邦人被害事案
第3四半期中,当館において2件の邦人被害を把握しております。
(1) 強盗
10月3日午後10時30分頃,在留邦人がベレンジャック地区の道路を単独歩行中に,目出し帽を着用し,けん銃を持ったイラン人男に所持していたバックを強取された。
(2) 窃盗(スリ)    
11月9日,サッカーの邦人サポーターが試合前日に試合会場を訪問したところ,敵チームのサポーターに囲まれ,背負っていたデイバックから財布等が窃取された。
(3) 窃盗(忍込み)
12月8日午後11時から翌午前6時30分までの間,テヘラン市ジョルダン地区の就寝中の在留邦人宅に何者かが侵入し,リビングルームに置かれていた鞄(パスポート,財布等在中)及び腕時計が窃取された。
 
3.テロ・爆発事件等発生状況
(1)テヘラン市内
テヘラン市内では,一昨年7月以降,テロ・爆発事件は確認されておりません(第3四半期中主な報道なし)。
(2)南東部パキスタン国境付近(シスタン・バルチスタン州等)
      南東部パキスタン国境地域には,「ジェイシュ・アルアドル」,「アンサール・ル・フォルガン」と称するスンニ派反政府組織等が存在し,同組織らによる治安部隊等に対するテロが複数件発生しています。同地域においては最近,以下の報道が確認されております。
    ○ 10月6日,シスタン・バルチスタン州チャーバハールにおいて,救急車に対する銃撃があり,運転手及び救命士が負傷した。
○ 10月15日,シスタン・バルチスタン州ミールジャーヴェで,国境警備兵等12名が誘拐されたと発表した。
○ 12月6日,シスタン・バルチスタン州チャーバハールの警察本部で自動車爆弾テロが発生し,治安機関員2名が死亡した。
(3)北西部イラク国境付近
北西部イラク国境地域では,「PJAK(クルド自由生活党)」等がクルド人独立国家の建設を目指し,イラン政府及び治安部隊を標的としたテロを敢行する動きがみられるほか,ISIL関連動向も見られます。最近も以下の報道が確認されております。
○ 10月8日,クルディスタン州マリヴァーン市で国境警備兵と武装集団との戦闘により,同警備兵1名が死亡した。また,イラン国内への侵入を試みようとした同集団から大量の武器と弾薬が押収された。
○ 10月25日,クルディスタン州サルヴアーバード地方長官は,バシジ隊員2名が反革命グループの待ち伏せ攻撃に遭い死亡したと発表した。
(4)その他の地域
○ 11月8日,ブシェール州ダシュテスタン市で開催された第8代イマームレザー殉教パレード中に爆発物が発見された。
○ 11月28日,ゴレスターン州ラーミヤーン市の金曜礼拝スンニ派導師が朝の礼拝後に自宅近くで銃弾を受け死亡した。
 
4.抗議活動発生状況
第3四半期中の抗議活動については,給与の未払いを訴える抗議行動(フーゼスタン州)等が行われたものの,特定の問題を取りあげた比較的小規模な抗議行動でした。しかし,今後の経済状況の変化により,特定地域で行われる抗議行動が全国的に飛び火し,大規模抗議行動に発展することも考えられることから,関連動向には引き続き注意が必要です。
 
5.誘拐・脅迫事件発生情報
(1)誘拐事件
  第3四半期中,外国人が誘拐事件の対象となったとの情報はありません。
(2)脅迫事件
      第3四半期中,外国人が脅迫事件の対象となったとの情報はありません。
 
6.日本企業の安全に関わる諸問題
    現時点,当地における日本企業及び外国企業を対象とした脅威は特段見られないものの,引き続き経済問題に端を発した大規模抗議行動には留意が必要です。冒頭に記載したとおり,定期的に最新の報道や当館又は外務省海外安全ホームページをご確認いただくなどして,自らの安全確保のための情報収集を心掛けてください。