防犯及び安全対策の手引き

 
 
  
 
防犯及び安全対策の手引き
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
在イラン日本国大使館
 
2019年1月
 
 
 
作成:警備班/領事班

はじめに
イランの治安状況は、イラクやアフガニスタン、パキスタンとの国境付近を除き、首都テヘランを含め、治安状況は概ね平穏に推移しています。一方で、2017年6月には、首都テヘランの国会事務所建物及びイマーム・ホメイニ廟周辺において、テロ事件が発生し、多数の死傷者が出た他、2018年9月と12月には、それぞれアフヴァーズ市とチャーバハール市において武装グループによるテロが発生し死傷者が出ました。また、地震等の自然災害や抗議デモ等もイラン各地で多発しています。これらを踏まえ、当国滞在にあたっては、以下の事項を念頭に置き、平時から緊急事態の発生を想定して準備、行動することが肝要です。
 
「自分の身は自分で守る」のが原則です。このことを常に心がけて下さい。
 
地震対策
テヘランはアルボルズ山脈の南側山麓部に位置していますが、この山脈が地震帯に属しており、多数の明瞭な活断層が分布しています。過去の記録によれば、テヘランは約150年の再来周期で大地震に見舞われており、近い将来、テヘランで大地震が発生する可能性があります。必要最低限の緊急備蓄品を各家庭で準備しておくことをお勧めします。
 
詳しくは付録2「緊急備蓄品のススメ」をご覧下さい。
 
メールアドレス登録
緊急事態発生時の第一報を認知するには、メールが極めて有効な手段となります。大使館では、緊急事態が発生した場合を想定した、メール、ファックス、SMSによる一斉送信システムを構築しています。
2018年1月現在、メールアドレスをお持ちの日本人世帯は313世帯あり、これは全世帯数の83.2%にあたります。また永住者世帯でファックスによる通信が可能な世帯は4世帯、SMSによる通信が可能な世帯は39世帯あり、メール、ファックス、SMSでの通信可能世帯は全体の91.3%に上っています。
 
大使館へのメールアドレス登録にご協力をお願いします。
住所、電話番号、家族構成等、在留届の内容に変更が生じた場合は、速やかに大使館に届出をして下さい。

治安状況
現地の人でさえ立ち寄らないような地域や場所には近づかない
 
  イラクやアフガニスタン、パキスタンとの国境付近をはじめ、テヘラン市内であっても現地の人が危なくて立ち寄らないような場所(テヘラン駅西部「ジャヴァディエ地区」、テヘラン駅南方、「シャフルレイ地区」など)があります。このような場所には近づかないよう心がけて下さい。
また、普段は平穏な場所でも、政治集会やデモ、過熱した国民行事が行われている場合には注意が必要です。
 
 
日本とは全く異なる環境であるということを認識する
 
  イランは「厳格なイスラムの戒律に基づく政治・社会体制下にある国」であり、生活環境が日本とは全く異なるということを常に認識する必要があります。日本では当然のことであっても、イランでは時として法に触れる行為とみなされて拘束されるなどの事態に発展する場合がありますのでご注意下さい。
 
  特に留意すべき当国の年間行事等については以下のとおりです。
 
1.イスラム革命記念日(2月11日(イスラム太陽暦バフマン月22日))
イスラム革命記念日には、国内各地で革命を記念する政府系デモ行進が行われます。行進自体は平穏裏に終了することが多いものの、不測の事態に巻き込まれるおそれがあります。行進・デモ等の現場には近づかず、もし遭遇した場合には直ちにその場所から離れて下さい。写真・動画の撮影等は絶対にしないように、十分にご注意下さい。
 
2.チャハールシャンベ・スーリー(3月12日の火曜午後)
毎年3月中旬、無病息災を願い焚き火の上を飛び越える伝統行事「チャハールシャンベ・スーリー」が行われます。近年、一部の市民がこの機に乗じて花火や爆竹を公共の場で爆発させるなどして、負傷者や死者が出たことから、一年で最も危険な夜と見なされています。不測の事態に巻き込まれるおそれがありますので、徒歩での外出は控え、花火や爆竹を使用している場所やそれらの音がする場所には絶対に近づかないように、十分にご注意下さい。もし遭遇した場合には直ちにその場所から離れて下さい。
 
3.ラマダン月(イスラム太陰暦ラマダン月(※太陽暦と太陰暦の相違から、西暦及び和暦上は毎年実施時期が約11日ずつ早まります。2019年は5月5日から6月3日頃です。))
毎年イスラム太陰暦ラマダン月は、イラン国内でもイスラム教徒により広く断食が行われます。市内の飲食店の多くは日中閉店します。イラン政府も、日の出頃から日没までの間、公共の場で飲食(ガムや飴も含む)や喫煙をしないよう注意を呼びかけます。外国人旅行者を含む非イスラム教徒も同呼びかけの対象ですので、外出時の飲食・喫煙には十分にご注意下さい
 
4.国民の宗教感情が高まる日(アーシュラー等)
第3代エマーム・ホセインの殉教を哀悼するイスラム教シーア派の儀式が行われるタースアー及びアーシュラー(イスラム太陰暦モハッラム月9日及び10日、2019年は9月8日及び9月9日)、その前後のモハッラム月(2019年は8月31日から9月29日)等は、多くのイラン国民にとって宗教感情が高まる時であるため、右に配慮し慎み深く行動するようご注意下さい。
 

2019年1月1日時点での危険情報
 
イランに対する渡航情報(危険情報)
 

●パキスタンとの国境地帯
  :「レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)」(継続)
●ケルマンシャー州及びイーラーム州のイラクとの国境地帯
  :「レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)」(継続)
●イラク及びアフガニスタンとの国境地帯(上記を除く)
  :「レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)」(継続)
●シスタン・バルチスタン州(チャバハール市及び同市周辺の自由貿易地域、アフガニスタン及びパキスタン国境地帯を除く)
  :「レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)」(継続)
●シスタン・バルチスタン州チャバハール市及び同市周辺の自由貿易地域及びケルマーン州
  :「レベル2:不要不急の渡航は止めてください。」(継続) 
●首都テヘラン他、上記地域を除く全地域
  :「レベル1:十分注意してください。」(継続)


 
 
1.治安概況
イランでは犯罪発生件数等に関する統計資料が公表されていないため、犯罪の発生傾向についての確実な判断はできませんが、報道に照らしてみると、一般犯罪はかなり多く発生しているものと思われます。
また、邦人からの強盗事件(昏睡強盗、偽警察官による強盗等)、窃盗事件(すり、ひったくり、空き巣等)にかかる被害報告は、ほぼ例年同様になされており、当地は決して「安全」とは言いきれない状態にあります。
  
過去に邦人が被害者となった主な事件としては、
 
○ 「白タク」のタクシー内において、同タクシー運転手から工具を突きつけられて現金を強奪される。
 ○ 言葉巧みに近づいてきた犯人に、睡眠薬入りのチャイ(紅茶)を勧められて飲んだところ意識を失い、所持品を奪われる。
○ 道を聞くふりをして近づいてきた犯人に、いきなり刃物を突きつけられてスマートフォンを強奪される。
○ タクシーで観光地に立ち寄る際、車内に現金、旅券等の貴重品在中のカバンを置いて車から離れたところ、同カバンが盗まれる。
○ 警察官を名乗る犯人にバッグの中身を見せるよう強要され、見せるや否や力尽くで強奪される。
○ オートバイに乗った犯人によって鞄などの所持品をひったくられる。
○ バザール(市場)で買物をしていたところ、ズボンの後ろポケットに入れていた財布をすられる。
○ バス停にて車道側を向いてスマートフォンを操作していたところ、オートバイに乗った犯人にスマートフォンをひったくられる。
○ 自宅の洗濯機不具合のため、住居の管理人、修理業者等を招き入れたところ、玄関に置いたはずの高級腕時計が紛失していることに翌日気が付いた。
   
等が挙げられます。
 
犯人は刃物を所持している場合もあり、抵抗すると斬りつけられる可能性もありますので注意が必要です。
 
さらに、毎年、イラン国内で大量の麻薬が押収されるなど、薬物情勢は深刻であり、麻薬中毒者のほか、若者が麻薬購入資金を稼ぐために強盗や窃盗等の犯罪を起こすケースも多いと言われています。
また、イランにおいて、テレフォンタクシー(アジャンス)、正規タクシー(黄色や緑色のタクシー)や白タクがありますが、いわゆるタクシー(白タク含む)の運転手が強盗、強姦等を行うケースも多数報告されています。したがって、特に女性は人通りの少ない夜間のタクシーの利用を控えるようにして下さい。昼夜を問わず、決して一人で白タクや知らない人の車には乗らないようにして下さい。
 
2.防犯の基本的な心構え
 (1) 犯罪被害に遭わないためには、常に「気を抜かない」、「周囲を警戒する」ことが重要です。イランでは、外国人は金持ちと思われがちであり、日常生活を通じ、常に「狙われている」といった意識を持つことが大切です。
 (2) イランはイスラム体制国家です。イスラムを冒涜したととられるおそれのある言動は厳に慎むとともに、特に女性は、イスラム教徒でない場合でも髪の毛や身体の線を隠すべくスカーフ、ロングコート等の着用が義務付けられています。また、素足を出さないことにも注意が必要です。当国の法律ではこれら義務違反者は罰則が規定されているので、服装等については十分注意し、思いがけないトラブルに巻き込まれないよう心がけることが大切です。
 (3) イラン人は、強く自己主張をする傾向があります。一般的にイラン人は非常に親切であり、自己主張と言っても決して悪気のあるものではありませんが、邦人がイラン人と接触する場合はイラン人の行動様式を十分認識した上で対応する必要があります。イラン人に限りませんが、外国人の間では「自分の要求すべきことは相手にはっきり伝達する」という姿勢が顕著なので、日本人としては戸惑うことがありますが、相手方からの要求については「イエス(バレ)、ノー(ナ)」 の意思表示を明確に伝えることが大切です。
 (4) イラン国内の深刻な薬物情勢を背景に、当局は麻薬関連犯罪を厳しく取り締まっており、これら犯罪に対しては極刑をもって対処しています。従って決して麻薬に手を出すことのないよう、またこれら犯罪に巻き込まれることのないよう注意して下さい。仮にイランの治安当局に何らかの嫌疑で身柄を拘束されても、イラン側から当大使館に連絡が入るという保証はありません。違反行為をしないことはもちろん、嫌疑をかけられるようなことがないよう細心の注意が必要です。
 (5) また、イランでは軍関係施設、政府関連施設、その他治安上重要な施設や公共機関施設等における写真撮影及びビデオ撮影が禁じられており、当局も厳しい取締りを実施しています。過去には上述施設において写真撮影等を行ったとして邦人が一時治安当局に拘束される事案も発生しています。撮影箇所によっては身柄を拘束される可能性も十分ありますので、こうした事態に遭遇しないために、(1)滞在・訪問先の情報を事前に調べる、(2)訪問先にいるイラン人に確認する、(3)観光客が多く訪れ、撮影等問題なく行われている地域以外は立ち入らない、(4)旅券を常時携行する(どうしても宿泊先ホテル等に預けなければならない場合は、コピーを携行)等に留意されることを厳にお願い致します。
 
3.最近の邦人に関する犯罪発生状況
 (1) 概況
   邦人が殺害される殺人事件の発生はないものの、2007年10月には、ケルマーン州(イラン南東部)バム市を観光中の邦人旅行者が麻薬密輸武装組織に誘拐されるという事件が発生しています(2008年6月に無事解放)。また、テヘラン市内でも上記「1.治安概況」、下記(2)のとおり、邦人が被害者となる強盗、窃盗等の事件が多数発生しています。
 (2) 過去3年間の犯罪発生状況
  2016年 2017年 2018年
路上強盗 3 1 1
昏睡強盗 1    
空き巣 2 3 1
車上狙い      
ひったくり 1 1 2
すり・置引き 2 3 3
詐欺      
その他     1
合  計 9 8 8
 
4.防犯のための具体的注意事項
 (1) 住居防犯対策
      イランに長期滞在する場合、ホテルは別として一戸建て或いはアパート等集合住宅から住居を選択するというのが一般的ですが、一戸建ては必ずしも防犯対策がなされているとは限らず、過去には
 
  ○ 窓枠に組み込んであるアルミ製防犯柵を切断され侵入されたケース
  ○ 長期不在(旅行等)中に勝手口を破って侵入され、貴重品を含めた家財道具一切を盗まれたケース
  
  等が当館に報告されています。
 
      一戸建てに居住する場合は、道路や空き地に近い部分の窓枠に防犯対策を講じるとともに、玄関のドアのロックを二重三重にすることも必要です。
   また、比較的安全といわれるアパートに居住する場合でも、道路に面した窓等への防犯対策はもちろん、入居後の早い時期に玄関鍵を交換し、2つ以上の鍵を設置するほか、不在時(就寝時含む)にも室内灯・玄関灯を点灯しておく等の配慮が必要です。
   アパートは、基本的には入り口に管理人(門番)が常駐していますが、過去の手口では郵便局員等を装って管理人を騙してアパート内に侵入し、住人が安心してドアを開けたところで強盗行為に及ぶという事件も発生しています。訪問者を安易に入れない等の注意が必要です。
 (2) 外出時防犯対策
   外出する場合は、常に何らかのリスクを伴うとの認識が必要です。日中においても薄暗い路地を避けて人通りのある道を選び、複数での行動や車両での移動を心がけてください。また、オートバイを利用したひったくり被害に遭わないため、
 
○ 旅券、現金等の貴重品の携行は最小限にし、大切なものは身につけて携行する(カバンに入れて持ち歩かない)
  ○ バッグ類は道路と反対側に持つ(あるいは肩から斜め掛けにして持つ、コートの中に入れて隠すように持つ等)
  ○ 後方から接近してくるオートバイには注意を払う
 
等に努めてください。
 
   さらに、帰宅時を狙われるケースも少なくありませんので、車の乗り降りは自宅駐車場内で行うようにするとともに、自宅付近に不審者・車が認められる場合には無理に帰宅せずやり過ごし、アパートの門番や警察に通報して安全確認を行ってから帰宅するといった注意も必要です。
 (3) 生活防犯対策
      自宅に訪問者があった時、いきなり玄関を開けることは非常に危険です。あらかじめ訪問者が予想される場合でもドア越しに相手を確かめてから対応することが基本です。また、使用人等の中には盗みの手引きをする者がいないとも限りませんので、雇用する際に身元を確認する、合鍵を預けない、不在期間を明確にしない等の注意が必要です。
 
5.交通事情
イランの報道によると、全国で毎年約2万人交通事故で命を落としています。そもそも、イランの交通事情は以下のとおり日本とは全く異なっており、細心の注意が必要です。車を運転(乗車)する場合は必ずシートベルトを締めて下さい。また、歩行中も常に周囲の車、オートバイに注意し、安全を確認して下さい。
 (1) 交通ルールを無視した運転が多い
  ○ 一方通行を逆行する
  ○ 右左折のサインを出さない(出しても逆に曲がる)
  ○ 少しでも車間が空いていれば割り込む
  ○ 車線に沿って走らず、急激な車線変更を行う
  ○ 車、オートバイの乗車定員を守らない
  ○ 高速道路を歩行者が横断する
  ○ 薬物乱用者が危険運転を行う
  ○  オートバイが歩道を走る
 (2) 整備不良車が多い
  ○ 前照灯、ブレーキランプ等が整備がされていない車両が多い
  ○ 夜間でも無灯火で走る車が多い。
(3)交差点や横断歩道等に信号が配備されていないことが多い。
 
6.テロ・誘拐対策
(1)概況
ア 2017年6月7日、テヘラン市内の国会事務所建物内及び同市近郊のイマーム・ホメイニ廟周辺において、複数の武装グループによる銃撃や自爆攻撃によりイラン人18人が死亡、約50人が負傷するテロ事件が発生(ISILが犯行声明を発出)しました。
イ また、イランにおいては、南東部国境付近(シスタン・バルチスタン州)に「ジェイシュ・アルアドル(「正義の軍隊」の意)」と呼ばれるスンニ派反政府組織等が存在しており、2017年中も同組織による治安関係者等に対するテロ行為が複数発生したとの報道がありました。
ウ さらに、クルド系の住民が多数を占めるクルディスタン州や東アゼルバイジャン州、西アゼルバイジャン州では、特にイラク及びトルコとの国境付近で、クルド人反政府組織「PKK(クルド労働者党)」及びその系列組織「PJAK(クルド自由生活党)」等がテロ行為を行っているとの報道もみられます。
エ ISILについては、同組織はシーア派国家であるイランに対する明確な敵対意思を依然として有しており、2017年中には上記テヘランでのテロ事件のほか、イラン国内においてテロを企図していた関係者が逮捕・殺害される事案が報じられています。
(2)各組織の活動状況または各地域の治安情勢
ア 南東部
 南東部アフガニスタン・パキスタン国境付近においては、「ジェイシュ・アルアドル」によるテロ事件や治安部隊との戦闘が発生しています。また、同地域では武装した麻薬密輸組織による誘拐事件や暗殺事件、行政機関や治安機関に対する襲撃事件の発生も多数報じられています。
イ 北中西部
 北中西部イラク・トルコ国境付近においては、「PJAK」によるイラン治安部隊に対するテロや襲撃事案が発生しています。
ウ ISIL関係
 上記のとおり、ISILについては、同組織はシーア派国家であるイランに対する明確な敵対意思を依然として有しており、イラン国内の目標への攻撃を行う可能性が排除できない状況にあります。、
(3)誘拐事件の発生状況
 2017年12月14日、シスタン・バルチスタン州ザボール近郊において、イラン人技師が犯人グループにより身代金目的で誘拐されていたところ、その10日後に革命ガードの救出作戦により救出され、犯人5人が逮捕されました。また、2018年1月13日には、同州イランシャフルにおいて、外国人5人が金銭目的で誘拐され人質となっていたところ、警察による救出オペレーションにより、犯行から13時間以内に全員が解放され、犯人3人が逮捕されました。
 今後とも同様の事件が発生する可能性が排除されないことから、引き続き十分な注意が必要です。
(4)日本人・日本権益に対する脅威
 現在のところ、イランにおいて、日本人及び日本権益を標的としたテロの発生はありません。他方で近年、シリア、チュニジア及びバングラデシュにおいて日本人が殺害されたテロ事件や、パリ、ブリュッセル、イスタンブール、ジャカルタ等で大規模テロ事件が発生しています。このように、世界の様々な地域でイスラム過激派組織によるテロがみられるほか、これらの主張に影響を受けた者によるローンウルフ(一匹狼)型等のテロが発生しており、日本人・日本権益が標的となり、また、テロを含む様々な事件の被害に巻き込まれるおそれもあります。このような情勢を十分に認識して、誘拐、脅迫、テロ等に遭わないよう、また、巻き込まれることがないよう、海外安全情報、当館ホームページ(四半期毎の海外安全対策情報等)、報道等により最新の治安・テロ情勢等の関連情報の入手に努め、日頃から危機管理意識を持つとともに、状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心がけて下さい。
  また、当地においては、イラン・イスラム革命記念日等の祝祭日に反米等を唱えるデモ行進・集会等が頻繁に開催されていることから、不特定多数の者が集まるそれらの行事には近付かないといった留意が必要です。
 
7.安全情報の提供
日本外務省及び当館では、定期的にイランに関する危険情報、スポット情報、四半期毎の海外安全対策情報等の各種安全情報、及び事案毎に一斉メールにて情報提供を行っています。日本外務省又は当館のウェブページから、最新情報の収集に努めて下さい。
このマニュアルとは別に、海外旅行のトラブル回避マニュアルとしての小冊子「海外安全 虎の巻」も日本大使館窓口で配布しておりますので、ご活用下さい。
また、防犯の参考となるビデオの貸し出しも行っておりますのでご利用ください。
 
8.在留届
旅券法16条により、外国に3ヶ月以上滞在する日本人は、最寄り、若しくは管轄の在外公館(大使館又は総領事館)に在留届を提出することが義務づけられています。皆様が当地に滞在していることを届出して頂くことにより、次のようなサービスが受けられます。
 
○ 事故、事件発生の連絡が大使館に入った場合、「在留届」を基に安否を確認し、援助等を行います。
○ 有事の際の危険情報他有益な情報を、登録して頂いたメールアドレスに配信します。
○ 各種証明書の申請に際しては、在留届が提出されていることが必要となります。
○ 在外選挙人名簿への登録申請手続きができます。
○ 子女に対する教科書給付を受けることができます。
 
なお、届出された在留届に記載された「滞在終了予定日」を経過した後1年を経過し、在留の確認が出来ない方については、当館管轄地域から転出したものとして扱わせて頂くこととなります。
 
 
9.「たびレジ」登録
在留届の提出義務のない3ヶ月未満の短期滞在の方(観光旅行、出張者等)については、現地で滞在予定を登録して頂けるシステムとして、2014年7月1日より、「たびレジ」(外務省海外旅行登録)の運用を開始しています(http://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/)。
登録者には、滞在先の最新の渡航情報や緊急事態発生時の連絡メール、また、有事の際の安否照会、緊急連絡等が、現地日本大使館(総領事館)から配信されますので登録をおすすめします。イラン在住の方で第三国に短期で渡航される場合にも登録をおすすめいたします
 
10.緊急事態発生時の対処マニュアル
(1) 平素の準備と心構え
ア 連絡体制の整備
 イランに3ヶ月以上滞在する予定の在留邦人の方は、必ず在留届登録を行って下さい(イラン滞在予定期間が3ヶ月未満の方は「たびレジ」に登録下さい)。外務省のホームページのオンライン在留届システム(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet/index.html)、若しくは当館領事窓口に届出ることも可能です。在留届の内容(住所、連絡先変更、第三国へ転居、帰国等)に変更が生じた場合、オンライン在留届システムで届けられた方は同サイト上で、領事窓口に届出た方は、領事班までご連絡ください(第三国へ転居される方は、転出先の在外公館で改めて在留届を届出ていただく必要があります。)。また、長期にイランを離れる場合も可能な限り当館領事班にご連絡願います。
 緊急事態の発生に備え、家族間ではお互いの所在(行き先等)を常に明確にしておくことを心がけ、職場内では緊急連絡方法についてあらかじめ緊急連絡網を作成する等して整備しておく必要があります。
 緊急事態発生の際には、当館から一斉メール(在留届、たびレジ登録のメールアドレス宛)を第一手段として情報を提供します。未登録の方へは、電話、ファックス等にて連絡を試みますが、極力在留届等へのメールアドレス登録をお願い致します。
イ 待避場所
 当館では、緊急事態発生時の状況やその後の事態の経過に応じて、職場や自宅以外への避難を勧告する可能性があります。現在、当館は大使館及びテヘラン日本人学校の2カ所を在留邦人のための一時避難場所に指定しております。緊急事態発生時には、基本的には各自が自力で同所へ向かうことになりますので、避難経路について幾つかのルートを想定し、平時から道順を確認する等心がけてください。
ウ 非常用物資(携行品等)の準備
 パスポート、現金、カード等の貴重品は、すぐに持ち出せるように一カ所にまとめて保管しておくことをおすすめします。
 緊急時は状況に応じて自宅待機を勧告することがあります。自宅には非常用食料、医薬品、防寒具等を最低10日分程度準備しておくことをおすすめします。
 なお、有事の際の「チェックリスト」は下記(3)のとおりです。
(2)緊急時の行動
ア 情勢の把握
 緊急事態発生の際には、テレビ、インターネット、ラジオ等にて、各自情報収集に努めてください。インターネットへの接続が可能な場合には、外務省ホームページから情報を入手してください。
イ 当館からの安否確認に対する協力依頼と当館への情報提供
 緊急事態が発生した場合当館は、当館が保有している安否確認システムやイランの関係当局への照会等を通じて在留邦人の方々の安否確認を直ちに行います。他方、緊急事態においては、在留邦人の方々からの安否連絡も大変重要です。当館への連絡は、メール(consular@th.mofa.go.jp)、電話(+98(21)2266-0710、0711、0712、0713、0727)、FAX(+98(21)2266-0746、0747)など、どのような手段でも構いませんが、その際には(1)所属団体名、(2)人定事項(名前、住所、電話番号)、(3)現在の状況の3点をお伝え下さい。また、避難先などの連絡先に変更があれば直ちに通報してください。なお、日本人会会員の方は安否確認をできる限り企業毎に取りまとめて頂き、当館に連絡してください。
 特に自分自身や家族の身に危害が及ぶ虞がある場合、または普段から交流のある邦人が危険にさらされていると推測される場合は、速やかに当館まで通報してください。
 その他、周囲の状況の変化に応じて、当館に通報することが適当と思われる場合は、速やかに当館領事班まで通報願います。通報頂いた情報が、その他の在留邦人にとって有益な情報となり得ます。
 緊急事態時は、お互いに助け合う気持ちを持って行動する心構えが重要です。場合によっては、当館から在留邦人の皆様に協力をお願いすることがありますのでよろしくお願いします。
ウ 国外への退避
 事態が悪化し、一向に改善の兆しが見られず長期化することが予想される場合は、今しばらくイランに残留して状況を見極めるのも一案ですが、日本への帰国、あるいは近隣諸国へ一時避難する等の選択肢もあります。イランから出国する場合は、出国前に必ず当館にご連絡ください。万が一、出国前に当館に連絡できなかった場合は、帰国した方は外務省の「海外邦人安全課」(TEL: 03-3580-3311)へ、近隣諸国へ出国した方は最寄りの在外公館(大使館若しくは総領事館)へ必ず通報するようお願いします。
 当館が「退避勧告」を発出した場合、速やかに一般商用便で出国することをお勧めします。一般商用便の運行が無くなった場合、あるいは満席で座席の確保ができない場合は、チャーター便を手配することも考えられますが、チャーター便がすぐに手配できるとは限りません。チャーター便の利用にあたっては通常は片道エコノミー正規料金の支払いが必要になります。
 退避勧告の発出後、一般商用便での出国の目処が立たない方については、当館が指定している一時避難場所への集合をお願いすることがあります。その後、出国の目処が立つまでの間、同所で待機することになりますので、上記(1).ウの非常用物資の持参をお願いします。なお、緊急時の携行荷物は必要最小限のものとし、身軽に行動できることを第一に考えることが肝要です。
(3)緊急時に備えてのチェックリスト
ア パスポート等
 パスポートは、6ヶ月以上の残存有効期限があること確認しておいてください。6ヶ月未満の場合には、当館に旅券申請を行ってください(旅券残存が6ケ月ないと入国を認めない国があるためです)。パスポートの最終ページの「所持人記載欄」は漏れなく記載し、下段余白に血液型(Blood Type)も記入しておいてください。パスポートをはじめ、出国に際して必須となる重要物品はすぐに持ち出せるよう一括して保管しておいてください。当国の出国許可、再入国許可は常に有効なものとしておくことが必要です。
イ 現金、貴金属、貯金通帳等の有価証券、クレジットカード
 すぐに持ち出せるよう保管しておいてください。現金は、家族全
員が10日間程度生活できる程度のリアル及び外貨(米ドル、ユーロ等)をあらかじめ用意しておくことをお勧めします。
ウ 自動車の整備
 自動車をお持ちの方は、常時、整備に心がけてください。不測の事態に備えて、燃料は半分になった時点で補給しておくことをお勧めします。車内には、地図、懐中電灯、ティッシュ等必要と思われる物品をあらかじめ備えておいてください。
エ 携行品の準備
 一時避難場所への移動に備え、上記(3).ア及びイに加え、次の携行品を備えておいて、すぐに持ち出せるように準備してください。なお、これらの携行品は安全のために外から中身が分からないような入れ物(リュックサック等)に入れて保管してください。
   
(4)大地震発生時の対応
 テヘラン市は、約150年の周期で大地震に見舞われるといわれています。地震学者によると、1930年以来大地震が起きていないことから、大地震がいつ発生しても不思議ではない状況にあると指摘されています。大地震に際しては、上記(1)~(3)に留意するとともに、特に以下の点に留意して行動して下さい。
ア 防災ずきんやヘルメットを非常用食料等と共に、家庭、職場等に常備してください。
イ 地震発生時、レンガ造の建物は、壁が崩れ落ち、同時に天井・床が崩落する危険性もあります。また、たとえ鉄筋コンクリート造の建物であっても、壁のレンガなどが建物内外に崩れ落ちる可能性がありますので、建物内にいる場合にはただちに壁から身を離し、「机の下」等の転倒・落下物から身を守れる場所に移動してください。
ウ 天井の崩落やドアの変形により屋内に閉じ込められ、屋内からの脱出が困難となる危険性があります。その際、火災やガス漏れが発生すると更に危険な状態になります。これを防ぐためには、揺れの初期段階でドアを開ける等、避難ルートの確保も重要です。
エ 古い建物には倒壊の危険性があります。一般的に古い建物の場合、1階より2階、2階より3階とより上の階の方が安全(倒壊しにくい、また倒壊しても隙間(生存空間)が生じる可能性が高い)と言われています。1階等低層にいる場合、落下物に十分に注意を払った上で、出来るだけ早く屋外へ避難してください。
オ 当館では大使館及びテヘラン日本人学校の2カ所を在留邦人のための一時避難場所に指定していますが、市内の大部分の建物が半壊あるいは全壊している状況では、これらの一時避難場所の一部または全部が使用できない可能性も充分考えられます。また、地震の規模・被害状況により一時避難場所への移動が困難は場合も十分想定されますので、ご自宅の近くのテヘラン市が定めた避難所等を予め確認願います
(http://www.tehran.ir/Default.aspx?tabid=401(テヘラン市HP※ペルシャ語のみ))。
11.緊急連絡先等
当地は、日本のように「110番すれば警察官が数分で到着する。」という国柄ではありません。道路通行中に緊急事態が発生した場合は、付近の商店等に飛び込む、大声で付近に助けを求める等の行動が効果的です。大きな交差点においては配置されている交通警官に助けを求めることもひとつの手段です。警察への連絡は日本の「110番」に相当する110番通報(テヘラン警察本部)が整備されていますが、英語で対応できる者が限られており、特に夜間は、ペルシャ語しか通じない場合もあります。
 
 <緊急連絡先一覧>
○ 日本大使館      電  話    2266-0710(代表)
                    FAX    2266-0746(領事班)
  • 08:30~17:00 
毎週金・土曜日及び原則イランの休日を除く。ただし、緊急の場合は夜間・休日等であっても、上記電話番号に電話していただければ、日本語を解するスタッフに電話が転送されます。
○ テヘラン警察本部         110(英語可)
○ テヘラン消防本部(火災)  125
○ 緊急医療サービス(救急車) 115
○ 緊急薬事サービス           191
○ 滞在許可(外国人警察)     8880-0000
○ 観光局                     6658-2168~9
○ 都市ガス                  194
○ 水道局                     122
○ 電気            23819
○ バイク宅急便            193
○ 電話局(故障)       20117
○ 天気予報サービス           134
○ 時刻サービス               20119
○ タクシー          133
○ メフラバード空港(フライト案内)199
○ イマーム・ホメイニ空港インフォメーションデスク 09633
 
  <緊急時の一口ペルシャ語会話>
 
     警  察!    ポリス!  POLIS!
     泥  棒!      ドズド!  DOZD!
助けて!   コマーク・コニード!  KOMA-K KONID!
     すぐ来てください!   ロトファン・ズード・ビヤイード!
                 LOTFAN ZUD BIYAID!
     私の名前は・・・      エスメ マン ○ ○
                          ESME MAN ○ ○
     住所は・・・          アドレセ・マン ○ ○
ADRESE MAN ○ ○
12.終わりに
 防犯及び安全対策において慢心は禁物です。「慣れ」は時として落とし穴となり、重大な禍を招く結果になることがあります。
在留邦人の皆様におかれては、当地での滞在を実り多いものにするためにも、常に防犯意識を持っていただくようお願いします。
 
 

付録.海外旅行トラブル事例