海外安全対策情報(令和元年度第2四半期分)

2019/10/3

1.社会・治安情勢                                               

平成29年12月28日,マシュハド市等において物価上昇等を訴える抗議活動が発生し,その後,同活動がテヘラン市内を含むイラン国内各地に飛び火したことにより,一般市民及び治安機関員25人が死亡,複数人が負傷しました。その後,大規模抗議活動は発生していませんが,本年5月には,バス運転手組合員等の労働者が国会前に集結し,物価の高騰等に対する抗議活動が行われ,また,同月,南部フーゼスタン州において,サトウキビ精製会社の労働者が賃金の未払い等に対する抗議活動を行うなど,経済問題に端を発した抗議活動が散発的に発生しています。

イラン国内におけるテロ・襲撃事件については,平成29年6月7日にテヘラン市内の国会事務所建物内及びイマーム・ホメイニ廟周辺において,複数の武装グループによる銃撃や自爆攻撃により18人が死亡,約50人が負傷する事件が発生しました。また,平成30年9月22日には,南西部フーゼスタン州アフヴァーズ市で軍事パレードに対する銃撃事件(24人が死亡,60人以上が負傷)が発生しました。その後,南東部,南西部含むイランの南部地域においては,襲撃事案等が断続的に発生しており,同年12月6日には南東部シスタン・バルチスタン州チャーバハール市の警察本部に対する自動車爆弾テロが発生(治安機関員2人が死亡)し,平成31年2月13日には同州ハーシュ市~ザヘダン市間の道路において,革命ガードのバスに対する自爆攻撃(車両利用)が発生(革命ガード兵27名死亡)するなど,南部地域における治安情勢はやや不安定であり,テロ・グループと治安機関の戦闘が散発している北西部及び西部含め,今後の同地域におけるテロ・グループの動向を注視する必要があります。

また,依然として,殺人,強盗,窃盗,性犯罪等の一般犯罪の発生も多々報じられていることから,イラン国内における行動については,十分に注意が必要です。

また,最近のイランをめぐる国際情勢についても十分注意が必要です。

安全関連情報等については,当館から必要に応じて注意喚起情報を発出しておりますが,定期的に最新の報道や当館又は外務省海外安全ホームページをご確認いただくなど,自らの安全確保のための情報収集に心掛けてください。

 

2.一般犯罪の傾向

(1)概要

イランでは,犯罪発生件数に関する統計が公表されていませんが,各種報道によると,日常的に一般犯罪が発生しているものと考えられます。邦人に対する主な被害として,強盗(偽警察官による強盗,けん銃及び刃物を使用した強盗等),窃盗(ひったくり,スリ,空き巣,忍込み等)等の事件が発生しております。また,観光客の少ない地方都市において,外国人女性の一人旅を狙った性犯罪が発生していることから,地方都市等においては女性の単独行動は極力控えるなどの注意が必要です。最近の一般犯罪に関する報道は以下のとおりです。

(1) 外国人の窃盗被害の発生

8月26日付の報道によると,アイルランド人男性がイラン国内を旅行中,イラン人男女が乗車する車両に同乗することとなった。乗車後,車が突然停車し,故障したので車両を後ろから押すようにイラン人男女から指示されたアイルランド人は,車両を降りて車の後方に回ったところ,パスポート,2,500ドル,2,000万リアル,カメラ等が在中する同アイルランド人所有の鞄を乗せたまま,車両は走り去った。

(2)  ハイウェイ上における偽警察官による強盗事件の発生

8月31日付の報道によると,28日早朝,テヘラン中心部ナヴァーブ・ハイウェイにおいて,強盗犯人5名が,車両を斜めに停車して道路の一部を封鎖した上,停止指示板を掲げ,走行中の運転手に警察の検問と勘違いをさせて停車させ,同運転手らを刃物等で脅かし,金品を強取した。

 (2) バスターミナルにおける昏睡強盗の発生

9月21日付の報道によると、テヘラン市内の長距離バスのターミナルにおいて、51歳のイラン人男が旅客に声を掛け,疲れが取れるからと言いながら睡眠薬入りのお茶を振る舞い,気を失った旅客の荷物を持ち去った。

(2)邦人被害事案

第1四半期中における邦人被害は把握しておりません。

 

3.テロ事件等発生状況

(1)テヘラン市内

テヘラン市内では,一昨年6月以降,テロ事件は発生しておりません(第2四半期中に主たる報道なし)。

(2)北西部及び西部イラク国境付近

北西部及び西部イラク国境地域では,「PJAK(クルド自由生活党)」等がクルド人独立国家の建設を目指し,イランの治安部隊を標的としたテロを敢行する動きがみられ,最近も以下の報道が確認されています。

○ 7月2日,西アゼルバイジャン州チャールダラーンにおいて,革命ガード陸軍ハムゼ・セイエドッ・ショハダー基地所属の兵士と反革命テロ・グループが戦闘になり,同グループが解体された(兵士2名及びテロリスト2名が死亡した)。

○ 7月9日,西アゼルバイジャン州ピーランシャフル市において,テロリスト数名が革命ガードの車両に向けて銃撃し,同兵士3名が死亡し,1名が負傷した。

○ 7月10日,ケルマンシャー州ジャヴァンルードにおいて,革命ガードとイラク側からイランに侵入しようとしたテロリスト集団が戦闘となり,革命ガード兵士1名及びテロリスト5名が死亡し,テロリストの武器等が大量に押収された。

○ 7月26日,クルディスタン州サヴァーバードにおいて,革命ガードと反革命組織分子が戦闘になり,革命ガード兵士1名が死亡した。

○ 8月上旬,西アゼルバイジャン州マークーのトルコ国境近くにおいて,革命ガードと武装集団が戦闘となり,革命ガード兵士2名が死亡した。

○ 8月26日,西アゼルバイジャン州ピーランシャフルのエステグラール通りにおいて,革命ガード兵士1名が何者かに銃撃されて死亡した。

○ 9月6日,クルディスタン州マリヴァンにおいて,国境警察兵士とイランに不法入国しようとしたテロリストが戦闘となり,同兵士1名が死亡し,1名が負傷した。

(3)南東部パキスタン国境付近

南東部パキスタン国境地域には,「ジェイシュ・アルアドル」,「アンサール・ル・フォルガン」と称するバルーチ族のスンニ派反政府組織等が存在し,同組織らによる治安部隊等に対するテロが複数件発生しており,最近も以下の報道が確認されています。

○ 7月3日,シスタン・バルチスタン州イランシャフル市において,警察車両の巡回ルートで爆弾が爆発し,警察官2名が負傷した。

○ 7月5日,シスタン・バルチスタン州ザヘダン市のジャーメジャム通りにおいて,音響爆弾が爆発し,付近の商店の窓ガラス等が損傷した。その後,同地点付近で別の爆弾が発見され,警察により無害化された。

○ 7月20日,シスタン・バルチスタン州サラヴァン市のパキスタンとの国境付近において,革命ガードとテロ・グループとの戦闘により,革命ガード兵士2名が死亡した。

○ 9月16日,シスタン・バルチスタン州イランシャフル市において,警察が暴徒と衝突し,警察官4名が負傷し,うち1名が翌朝死亡した。

(4)南西部

南西部では,「アル・アフワーズ」と称するアラブ系反政府組織等が存在し,過去同組織らによる治安部隊等に対するテロが複数件発生していますが,第2四半期に同地域に係るテロ関連報道はありませんでした。

 

4.抗議活動発生状況

第2四半期中の抗議活動については,7月27日及び28日,退職教師数百名が国会等に集結し,待遇改善等の要請行動を行いましたが,経済問題に端を発した抗議活動については報じられませんでした。しかし,今後の経済状況の変化により,特定地域で行われる抗議行動が全国的に拡大し,大規模抗議行動に発展する可能性は否定できません。したがって,関連動向には引き続き注意が必要です。

 

5.誘拐・脅迫事件発生情報

(1)誘拐事件

  第2四半期中,外国人が誘拐事件の対象となったとの情報はありません。

(2)脅迫事件

      第2四半期中,外国人が脅迫事件の対象となったとの情報はありません。

 

6.日本企業の安全に関わる諸問題

    現時点では,当地における日本企業及び外国企業を対象とした脅威は特段見られません。ただし,上述のとおり,経済問題に端を発した大規模抗議行動の発生可能性は否定できないため,引き続き留意が必要です。冒頭に記載したとおり,定期的に最新の報道や当館又は外務省海外安全ホームページをご確認いただくなどして,自らの安全確保のための情報収集を心掛けてください。