海外安全対策情報(令和元年度第3四半期分)

2020/1/6
海外安全対策情報(令和元年度第3四半期分)
 
1.社会・治安情勢
令和元年11月15日,イラン政府がガソリン価格の引上げを発表したことに伴い, イラン各地において,数日間に亘って抗議行動が発生し,一部地域においては,ガソリ ンスタンド,銀行,政府施設等が襲撃されたと報じられました。イラン政府は,これを 受けて,治安回復のための厳しい措置を徹底し,さらに全面的にインターネット接続を 遮断するなどして事態の沈静化を図りましたが,国際NGO団体は,一連の抗議行動に おける死者数は200名を超えると発表するなど,大きな被害が生じた可能性がありま す。
また,マルキャズィ州等のイランの一部地域においては,給与未払問題等の経済問 題に端を発した抗議行動も引き続き発生しています。 イラン国内におけるテロ・襲撃事件については,平成29年6月7日にテヘラン市内 の国会事務所建物内及びイマーム・ホメイニ廟周辺において,複数の武装グループによ る銃撃や自爆攻撃により18人が死亡,約50人が負傷する事件が発生しました。また, 平成30年9月22日には,南西部フーゼスタン州アフヴァーズ市において,軍事パレ ードに対する銃撃事件(24人が死亡,60人以上が負傷)が発生しました。その後, 南東部,南西部含むイランの南部地域においては,襲撃事案等が断続的に発生しており, 同年12月6日には南東部シスタン・バルチスタン州チャーバハール市の警察本部に対 する自動車爆弾攻撃が発生(治安機関員2人が死亡)し,平成31年2月13日には同 州ハーシュ市~ザヘダン市間の道路において,革命ガードのバスに対する自爆攻撃(車 両利用)が発生(革命ガード兵27名死亡)するなど,南部地域における治安情勢はや や不安定であり,武装組織・テロ組織と治安機関の戦闘が散発している北西部及び西部 含め,今後の同地域におけるテロ・グループの動向を注視する必要があります。 また,依然として,殺人,強盗,窃盗,性犯罪等の一般犯罪の発生もイラン国内の広 い範囲で多々報じられていることから,イラン国内における行動については,十分に注 意が必要です。
また,最近のイランをめぐる国際情勢についても十分注意が必要です。 安全関連情報等については,当館から必要に応じて注意喚起情報を発出しております が,定期的に最新の報道や当館又は外務省海外安全ホームページをご確認いただくなど, 自らの安全確保のための情報収集に心掛けてください。
2.一般犯罪の傾向
(1)概要
イランでは,犯罪発生件数に関する統計が公表されていませんが,各種報道によ ると,日常的に一般犯罪が発生しているものと考えられます。邦人に対する主な被 害として,強盗(偽警察官による強盗,けん銃及び刃物を使用した強盗等),窃盗(ひ ったくり,スリ,空き巣,忍込み等)等の事件が発生しております。また,観光客 の少ない地方都市において,外国人女性の一人旅を狙った性犯罪が発生しているこ とから,地方都市においては,女性の単独行動は極力控えるなどの注意が必要です。 最近の一般犯罪に関する報道は以下のとおりです。

バスターミナルにおける昏睡強盗の発生 9月21日付の報道によると,テヘラン市内の長距離バスのターミナルにおいて, 51歳のイラン人男が旅客に声を掛け,疲れが取れるからと言いながら睡眠薬入りの お茶を振る舞い,気を失った旅客の荷物を持ち去った。
中国人観光客の窃盗被害の発生 10月1日付の報道によると,9月28日,イランを旅行中の中国人観光客がカー シャーン市内を観光するため,同市内でタクシーを借り上げ,観光地めぐりをしてい た。同中国人は,タクシーに鞄を置いたままタクシーから降り,写真撮影等に夢中に なっていたところ,イラン人タクシー運転手が中国人の鞄を開き,在中の11,00 0ユーロを窃取した。 10月20日付の報道によると,同月5日午後10時55分頃,テヘラン市メヘラ バード空港近くのアーザーディ広場近くを歩いていた男性がプジョーに乗車した2人 に声を掛けられて呼び止められ,突然,助手席の男に拳銃で2発撃たれた。
10月20日付の報道によると,テヘラン市内南部(メヘラバード空港南部のシャ フラケ・ヴァリーアスル地区)でタクシー待ちの若い女性に声を掛けて車に乗せ,人 気が少ない場所で刃物で脅して性的暴行を加えた30歳のイラン人男が逮捕された。 犯行車両のガラスはあらかじめ開かないように調整されており,被害者は(性的暴行 の)犯行場所に連れて行かれる間,助けを求めることができなかった。
11月12日付の報道によると,11月5日午後10時30分頃,テヘラン市の大 バザールの南西方向に位置するハーニー・アーバードノウ地区において,携帯ショッ プで買い物を終えた17歳の少年が,徒歩で自宅に帰る途中,後ろをつけてきた2人 組犯人の1人に携帯電話を奪われそうになったため抵抗したところ,少年はナイフで 犯人に胸を刺された。携帯電話は強取され,少年は病院に搬送されたが死亡した。
12月2日付の報道によると,本年9月,テヘラン市メヘラバード空港近くのアー ザーディー広場を走行していたタクシーの後部座席に座っていた女性が,2人乗りオ ートバイの後部座席に座った男に携帯電話をひったくられた。女性はタクシーの窓を 開けて,携帯電話で通話していた.
12月9日付の報道によると,本年5月4日,テヘランインターナショナルスクー ル(男子校)近くのカージ広場付近に所在する両替所でリアルをユーロに両替したイ ラン人夫婦が徒歩で自宅に向かっていたところ,オートバイで追跡してきた40歳と 43歳の男に刃物で脅され,2千ユーロと2百万リアルを強取された。犯人の一人は 両替所付近で待ち伏せしていた。犯人2人は警察の防犯カメラ捜査により,約7か月 後の12月2日に逮捕された。
(2)邦人被害事案
第3四半期中における邦人被害は以下のとおりです。
窃盗(ひったくり) 10月上旬某日午後,邦人旅行者がテヘラン市内を散策中,手にしていた携帯電 話を何者かにひったくられた。
窃盗(すり) 12月中旬某日午後5時頃,乗車していたBRT7号線(バス)内において,在留邦人がズボンの右前ポケットに入れていた現金及びカードケースを窃取された。

3.テロ事件等発生状況
(1)テヘラン市内 テヘラン市内では,平成29年6月以降,テロ事件は発生しておりません(第3 四半期中に主たる報道なし)。 (2)北西部及び西部イラク国境付近 北西部及び西部イラク国境地域では,クルド人独立国家の建設を目指す「PJAK (クルド自由生活党)」等による治安部隊等を標的としたテロが散発しておりますが, 第3四半期中に同地域に係るテロ関連報道はありませんでした。
(3)南東部パキスタン国境付近 南東部パキスタン国境地域には,「ジェイシュ・アルアドル」,「アンサール・ル・ フォルガン」と称するバルーチ系スンニ派反政府組織等が存在し,同組織らによる治 安部隊等を標的としたテロが散発しておりますが,第3四半期中に同地域に係るテロ 関連報道はありませんでした。
(4)南西部 南西部には,「アル・アフワーズ」と称するアラブ系反政府組織が存在し,過去 同組織らによる治安部隊等を標的としたテロが発生していますが,最近も以下の報 道が確認されております。
○ 10月14日,情報大臣は,フーゼスタン州のアルバイーン巡礼者の巡礼ルー トに設置された爆弾2個が発見され,関係者から武器50丁が押収されたと発表 した。
○ 10月30日夜,フーゼスタン州アフヴァーズ市内の2つの地域において,設 置された手製音響爆弾が爆発した(死傷者なし)。
4.抗議行動発生状況
11月15日,イラン政府がガソリン価格の引上げを発表したことに伴い,イラン各 地において抗議行動が発生しました。また,イラン各地においては,給与の未払等に抗 議する労働者等による抗議行動も散発しております。今後,このように発生した抗議行 動がテヘラン市内中心部等に飛び火することも考えられますので,抗議行動関連動向に は引き続き留意し,決して近寄らないようにすることが必要です。また,第4四半期に は,以下の抗議行動が確認されています。
○ 10月20日,マルキャズィ州アラクにおいて,アザルアーブ社の労働者が2か月 の給与遅配に抗議して,鉄道を封鎖するなどし,多数の抗議者が逮捕された。
○ 11月15深夜の政府によるガソリン価格引上げの発表に伴い,イラン各地におい て,数日間に亘って抗議行動が発生し,一部地域においては,ガソリンスタンド,銀 行,政府施設等が襲撃されたと報じられた。国際NGO団体は一連の抗議行動で多く の方が亡くなったと発表した。

5.誘拐・脅迫事件発生情報
(1)誘拐事件
第3四半期中,外国人が誘拐事件の対象となったとの情報はありません。
(2)脅迫事件
第3四半期中,外国人が脅迫事件の対象となったとの情報はありません。
6.日本企業の安全に関わる諸問題
現時点では,当地における日本企業及び外国企業を対象とした脅威は特段見られませ ん。ただし,上述のとおり,今後イラン各地で発生する抗議行動が,テヘラン中心部に 飛び火する可能性は否定できないため,抗議行動関連動向には引き続き留意が必要です。 冒頭に記載したとおり,定期的に最新の報道や当館又は外務省海外安全ホームページを ご確認いただくなどして,自らの安全確保のための情報収集を心掛けてください。