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海外安全対策情報(平成25年度第3四半期分)
1.社会・治安情勢
昨年6月、第11期大統領選挙で国民の過半数の支持を得てローハニ師が当選し、同8月に新政権が発足しました。しかし、新大統領の登場で国民の期待が高まる中、依然、米欧主導による経済制裁は継続しており、イラン経済、国民の生活に深刻な悪影響を与えています。
そうした情勢下、当国の治安は悪化傾向にあり、テヘラン市内及び観光地等における邦人への強盗犯罪、窃盗犯罪の発生件数は昨年と比較して3倍増加しています(4件→12件)。
当地での行動、特に外出時の際には、十分な注意が必要です。
2.一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
(1)イラン国内における窃盗事件、傷害事件等の一般犯罪や殺人、強姦等の凶悪犯罪に関する総括的な統計は発表されないので、これら犯罪の正確な実態は不明です。
しかし、一昨年からの当国通貨価値の暴落、物価の高騰等の理由から、イラン人、外国人を対象とした強盗犯罪、窃盗犯罪等の財産犯が増加している模様です。第3四半期中、邦人被害の強盗事件、窃盗事件は計4件(昨年合計12件)発生しました。
最近の被害の特徴として、現金、貴金属のほか、スマートフォン、デジタルカメラ等の高額電子機器が被害の対象となっています。
また、薬物事犯については、昨年10月、テヘラン市警察が「テヘラン市南部で麻薬中毒者及び麻薬密輸人、合計150人を逮捕した。」と発表しました。さらに、12月には、イラン警察麻薬対策局長が、「過去8か月間で全国において、麻薬類350トンを押収し、麻薬密輸グループ1,600を検挙した。」と発言するなど、薬物を巡る情勢に好転の兆しは認められず、麻薬密輸グループの摘発や麻薬類の押収に関する報道は後を絶ちません。
(2)邦人被害事案
第3四半期中、強盗被害1件、窃盗被害3件が発生しました。
【強盗被害】
昨年11月20日午後3時頃、邦人旅行者がテヘラン市南部に所在するテヘラン南バスターミナルにおいてバスを待っていた際に、イラン人と思われる外国人男性3人から声を掛けられ、勧められたチャイ(紅茶)を飲んだところ、5分も立たないうちに意識を失いました。同人は翌21日午前9時頃に目を覚ましたところ、その時には病院に搬送されており、タブレット型コンピューター、ノートパソコン等在中のカバン1個のほか、ズボンポケットに入れていたスマートフォン、現金(10万円相当)、また、着用していた衣服の内側の身体に巻いていたセキュリティーバックから旅券が盗まれていました。
【窃盗被害】
① 昨年10月10日、邦人旅行者がケルマーンシャー州ケルマーンシャー市において単身にてタクシーを利用した際、所用のため、同タクシーに荷物を残して下車したところ、同タクシーがその場から走り去り、現金等在中の荷物を盗まれました。
② 昨年10月22日午後、邦人旅行者がイスファハーン市からテヘラン市内に向かう際、長距離バス内に荷物を預けたところ、荷物内の貴重品の一部が盗まれました。
③ 昨年12月2日、邦人旅行者がラシュト市からテヘラン市に向かう長距離バスに乗る際、鍵をして衣類等在中のカバンをバスの荷台スペースに預けました。同人がテヘランに到着後、宿泊先で同カバンの鍵を解錠して開けたところ、カバンの中が荒らされており、現金(1万円相当の外国貨)在中の財布とイヤリング6個程度在中のジプロックが盗まれていました。
(3)邦人以外が被害に遭った凶悪犯罪事案
① 昨年11月7日午後、テヘラン州ギャルムダレ地区でパランドシティ行政委員会メンバーのプルバゲリ氏の刺殺体が同人の自家用車内で発見されました。犯人逮捕に関する報道には現時点では接していません。
② 昨年11月10日午後8時30分、テヘラン市東部ゴルバルグ通りサバラン広場でイラン商業・鉱工業省次官のサフダルラフマトアバディ氏が自家用車に乗り込む際に、何者かにより頭と胸を撃たれ暗殺されました。同月16日、同氏親族が容疑者として逮捕されました。
3.テロ・爆発事件発生状況
(1)テヘラン市内
第3四半期中、テロ・爆弾事件発生の情報はありません。(当館調べ)
(2)南東部パキスタン国境付近(シスタン・バルチスタン州等)
同地域には、スンニ派テロ組織「ジュンドッラー(「神の軍」の意)」のほか、「ジェイショルアドル(正義の軍隊)」と呼ばれるスンニ派の反政府組織が存在し、同組織らによる政府関係者、治安関係者の他、一般市民に対するテロ、爆発事件が頻繁に発生しています。
なお、昨年10月下旬から12月下旬にかけて、同州において5件のテロ事件が発生しており、「ジェイショルアドル」が犯行声明を出しています。
(3)北西部イラク国境付近
同地域では、クルド人反政府組織「PJAK(クルド自由生命党)」等とイラン治安部隊との戦闘が活発に行われています。
なお、昨年10月中に、「PJAK」と革命防衛隊との交戦が3件(クルデスターン州で2件、西アゼルバイジャンで1件)発生しています。
4.誘拐・脅迫事件発生情報
(1)誘拐事件
昨年12月12日、フーゼスタン州シューシュ地区の銀行において、警備員1人、銀行員4人が武装グループにより誘拐されました。その後、誘拐された5人は無事解放されました。
(2)脅迫事件
第3四半期中、脅迫事件発生の情報はありません。(当館調べ)
5.日本企業の安全に関わる諸問題
現在、「日本企業である」ということを理由とした脅威は認められないものの、上述のとおり、治安情勢やテロ情勢は引き続き、楽観視できない状況にあります。